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白き蓮は闇を照らす 第三話 

ども、錬です。

やっと第三話が完成しました。
長いことこの上ないので「続きを読む」へどーぞ





山に建てられた寺院、命蓮寺の中にそれはいた。
人間の数倍かはある巨体に、鋼鉄の鎧のような物をまとい、手には大槍を手にしている。
その勇ましく猛々しい姿はそれだけで人を圧倒し、怖気づかすような力強さをそなえていた。

毘沙門天だ。

「久しいな、白蓮」

寺の僧侶、白蓮の召喚の儀式が終わり、祀られている像に毘沙門天の魂が宿る。

「お忙しい中、来訪を感謝いたします。毘沙門天様」

白蓮が頭を下げると、毘沙門天は「よい」と言ってその場にあぐらをかいた。
毘沙門天が持っていた宝塔は魂が宿る前はただの鉄の塊にすぎなかったが、今は眩い光を放ち、部屋を明るく照らしている。
この光が闇を照らし、偽を正し、強さの証である事から、毘沙門天の魂は宝塔に宿るとも言われていた。

「して、その後はどうだ白蓮。人間と妖怪の距離は縮まったか」

「残念ながら、事はあまり良い方向に進んでおりません。人間達が一方的に妖怪を拒絶する限り、妖怪との共存の道は近づかないように思います」

「そうか、まぁ一筋縄ではいかないだろうな」

白蓮の考えている人間と妖怪が共存する世界は実現するには難しすぎた。
人間は知識を得て、万物の理、連鎖の輪から逃れようとしている。それは人間があらゆる生命の頂点として、常に他を捕食する存在であり続けることだ。
そしてその願望を達成しつつある。しかしそんな人間にとって、その生命を脅かし、人間を襲う妖怪は邪魔な存在なのだ。
人間は妖怪をことごとく退治し始めた―――人間の世界を作るために。

しかし白蓮は知っている。
この世はすべて相互関係があってこそ成り立っていることを。
何かひとつが失われれば、この世の均衡は崩れ、いずれは滅んでしまうことを。

だからこそ、白蓮は妖怪を人間たちから守った。
白蓮が彼らの力を使って生きていることもその理由のひとつでもあるが、それが本意ではない。
彼女は救いたかった。

妖怪たちの心を。

彼女の愛するこの世界を。

白蓮と毘沙門天の話がちょうど一区切りしたところで、新たな来訪があった。

「どなたかいませんか」

その声は寺の門の方から聞こえた。
白蓮は毘沙門天のいる部屋のふすまをそっと開け、中庭を通して声のした方向を見た。
そこには黄色と黒の服を纏った山の妖怪が立っている。

「妖怪・・・?何の用かしら」

妖怪が寺に来ることなどほとんど無い。皆、毘沙門天の力を恐れている。特に今日は毘沙門天が寺にやって来ている日であるのに、そこに来よう妖怪など初めてだ。
ひとまず白蓮は妖怪の所へ向った。




「強い力を感じるわね」
その妖怪、星は妖怪に襲われていた人間を再度襲われる事の無いよう仕方なく山の寺、命蓮寺まで引っ張ってきた。
山の妖怪でも力のある星にとって人間一人を運ぶことぐらい何ということも無かったが、寺から出ている毘沙門天の力は肌にひしひしと感じた。

「どなたかいませんか」

開けた門の前でそう言うと、左の部屋にあるふすまが開き、中から僧が一人こちらへ向かってきた。
黒を身に纏った山一番の僧、白蓮だ。
山の妖怪は皆、毘沙門天の力と伝説の僧侶、弟の命蓮の力を持ったこの僧を恐れ、この寺に近寄るものはいない。
近寄ってきた白蓮は私の顔を見ると、右手の運んできた人間を覗き込むように視線を移し、不思議そうな顔で言った。

「その人・・・どうしたの?」

「山の妖怪達に襲われて気絶していました。放っておいたらまた襲われるかも知れないので、人のいるところにと思いまして」

「そう、わかったわ」

私が人間を引き渡すと、僧は空き部屋にその人間を寝かせた。
私はその間、普段見ることの無い寺の内部を眺めていた。

「それにしても、あなた、妖怪なのによくここに来れたわね。普通なら退治されると思って寄り付かないのに」

「人間が妖怪を退治するのは妖怪が人間を襲うから。人間を助けた妖怪を退治するというのは理にかなわない。もしそのような分別の無い人間なら、私はきっとそんな人間には負けない」

「ふぅん、周りの妖怪から信頼されている理由がわかったわ」

自分が周りの妖怪に信頼されているかどうかなんて意識した事は無かった。私はただ、妖怪の生活を守るべく生きてきた。それは人間の生活を守ることでもある。
今日人間を助けたのも、その一環に過ぎない。人間をむやみに襲えば、人間は妖怪を退治する。それは避けるべきだと、そう思った。

どうやらこの僧侶は私の事をある程度知っているようだ。そして妖怪に対する考えも、その辺の退治することしか頭に無い人間とは違う。

空を仰ぎつつそんなことを考えていると、部屋から出てきた僧侶が何か思いついたように言った。

「そうだわ、もしよければ、あなたここに住んでみない?」

「ここに、住む?」

「そう、妖怪達から信頼されているあなたがこの寺にいれば、自然と妖怪達は寺にも来るようになる。そうなればこの寺が人間と妖怪を結ぶ拠点となって、人間と妖怪が争わない世界に近づけるかもしれない。それはあなたの望む所でもあるでしょ?」

彼女の話は楽観的に聞こえた。しかし彼女の話を聞いていくと、人と妖怪の関係に対する考え方は非常に近いものだった。
私も、その僧、白蓮も、人間と妖怪が争うことを良しとしなかったのだ。

私はその申し出を受け入れることにした。




「この者を弟子にしろと?」

「お願い、できませんか」

話がまとまると白蓮は星を毘沙門天のもとへ連れて行った。
さすがの星も予想以上に大きな毘沙門天に圧倒されていたが、横にいる白蓮は星を毘沙門天の弟子にする事を提案した。

「まぁ良いが、なにぶん妖怪を弟子にするのは初めてだ。監視をつけることになるが、それでも良いか」

毘沙門天は星の方を向いて聞くと、星は深く頭を下げた。

「おねがいいたします」




この時、白蓮と星は誓った。


いつか、妖怪と人間が互いに平和な世界を築く事を。
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category: 東方小説

thread: 東方プロジェクト

janre: ゲーム

Posted on 2009/12/23 Wed. 23:55  edit  |  tb: 0   cm: 0  

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