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東方二次創作小説「白き蓮は闇を照らす」 

闇に沈む世界にいても、光は必ず差している。


宵闇に浮かぶ月に照らされた木々の葉があたりの不気味さをいっそう引き立てる、普段は人があまり立ち入らない山へ続く山道の脇。
その山道を行く者が一人、黒を基調とした服に身を包み、夜の静けさの中に足音を残していく。

依頼はこの地域を管轄する役人から。最近この近辺で、人間が闇に潜む妖怪に襲われる事が多いということだった。
その僧侶、聖 白蓮は妖怪の討伐を依頼され、無防備にも手に持った巻物一つで夜の山におもむいた。

「さて、そろそろ出るころね」

そう呟くと、白蓮は突然立ち止まり静かに目を閉じた。
意識を集中し、空気の質感、温度、密度を体で感じ取る。
白蓮はすぐに異変を感じ取った。


闇が、深い。


突如、背後から何かが飛び掛ってきた。
白蓮はまるで後ろを向いていたかのようにそれをかわす。
襲い掛かってきた闇は、体勢を崩すことなく白蓮の方向に向き返り、様子を見た。
普段なら一撃で倒すところ、後ろから狙ったはずが、いとも簡単にかわされたから。

「あら、ご挨拶ね」

白蓮はひらりと服を揺らし、巻物を広げた。
妖怪からは闇が広がり、月明かりが薄れてあたりが暗くなる。それは妖怪特有の威嚇方法であり、敵対の表れだ。

「私は白蓮。あなたの退治を依頼されてきた僧侶よ。でも安心して、私はあなたを殺さない」

「だったら、何をしに来たのさ」

「あなたを闇から救いに来たの」

妖怪は怪訝そうに僧侶を見た。目の前の人間は退治を依頼された僧侶だと言い、殺さずに助けるとも言う。

「言ってる事と言ってる事が正反対な気もするよ」

「確かにそうかもね。だから私も一人で来た。あなたを助けることは秘密だから」

白蓮は巻物に目を通しはじめた。その巻物は深い闇の中でも明るく光っており、それだけで夜の妖怪はうかつに近づけない。

「あなたは元は人間だったのね、子供のうちに山に捨てられて、闇が取り付いてしまった」

妖怪の闇が揺らぐ。

「なぜ、それを知っている?」

「この巻物はね、弟の力が宿ってるの。私の弟は妖怪に詳しくてね・・・いえ、詳しかったの」

白蓮はゆっくり妖怪の方へ近づいた。

「あなたのその闇は未練と人間に対する憎悪から来ている。その闇は負の連鎖を生み、闇はさらに強くなるでしょう。だから私が取り除いてあげるわ」

「――っ!」

光が巻物からあふれ出した。
それは夜の月や星の明りをはるかに超えた強さで、妖怪の闇をもみ消していく。

やがて光は巻物の中に戻っていった。あたりはまた夜の山道に戻ったが、妖怪の濃い闇はすでに消えていた。
本来なら普段の数倍もの光を浴びた妖怪は消滅してしまうのだが、白蓮の巻物が出した光は妖怪を殺さなかった。

「妖怪とはいってもあなたは元は人間よ。食べるのは人でなくてもいいでしょ。それにこのまま人を襲い続けたら町は兵を向けてくるわ。そうなる前に、早くこの山から離れなさい」

そう言い残すと、僧侶は来た道を戻っていった。

彼女の望む妖怪と人間が平等に暮らす世界は、まだ遠い。

Go to next stage・・・

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category: 東方小説

thread: 東方プロジェクト

janre: ゲーム

Posted on 2009/12/10 Thu. 23:54  edit  |  tb: 0   cm: 3  

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